江戸切子と薩摩切子

強化ガラスの切子への適否


強化ガラス
ガラスが容易に割れないようにするために、表面を圧縮して破壊に対する抵抗性を高める方法が考案されました。
強化ガラスはその構造上、それを加工することが出来ないため、強化のプロセスは製品製造工程の最後で行われます。
強化ガラスはその表面が圧縮によって強化されているため、強化されていないガラスと較べて破壊に至る為の力は大きくなりますが、圧縮層を超えて割れが進行すると、内部には逆に引っ張りの力が存在しているため、ガラス全体が瞬間的に破砕してしまいます。

強化ガラスの切子への適否
強化ガラスはその表面が圧縮によって強化されているもので、破壊に対する抵抗性を高めることを目的として製造されているものです。
このためこれを後で加工するということは基本的には行ってはいけません。
例えば切子すなわちカッティングのつもりで、ダイヤモンドホイールで深い彫りを入れたとしますと、全面が爆発的に一瞬にして粉々に割れてしまう可能性もあります。強化ガラスは内部に引っ張り応力を持っているためこれを露出させることは極めて危険です。
そのため特に薩摩切子のような強い彫りを入れることは出来ませんし、江戸切子程度でもやめた方がよいでしょう。せっかくの強度を低下させる原因になるかもしれないからです。

強化ガラスの製造方法
イオン交換法
Naイオンを含有したガラスを、Kイオンを含有した水溶液に浸けておくと、ガラス表面にKイオンが進入していきます。
KイオンはNaイオンよりも大きいため圧縮応力の層が生まれ、このガラスは強化されたことになります。

風冷強化法
板ガラスを約700℃まで加熱した後、ガラス表面に空気を吹きつけ、均一に急激に冷やす事により表面に圧縮応力層を形成することが出来ます。ただし薄いガラス板はこの方法では強化できません。

江戸切子と薩摩切子(TOP)へ   切子グラス   ガラス素材