江戸切子と薩摩切子

江戸切子物語(9)



手間と時間をかけて宝石のように仕上げられる所に江戸切子の素晴らしさがあります。
割り出し線を基に切子図案の基本線や基本となる面が彫りこまれます。
その後三番掛けと言って、荒削りで彫られた線や、面、交点などを見ながら微細な模様が彫られます。

江戸切子の模様はこの三番掛けで決まってしまいます。
最後の工程は磨きです。
切子面が透き通って輝き、まるで宝石のように見えるようにするためには、磨きが大切です。

荒削りは勿論ですが、三番引きにしても、ガラスを削ると言うことは、微視的に見た場合、その部分を破壊しているわけです。
ですから削られた所はすりガラスのように白くなってしまいます。
白くなると言うことは光が乱反射しているわけですから、ピカリと輝くことは決してありません。

透明な透き通ったカット面にするためには、そのすりガラス状の表面を鏡のように滑らかにしなくてはなりません。
このための工程が砥石掛けです。
こんどはダイヤモンドのホイールではありません。すりガラス状になっているところを平たくするための砥石です。

そうして最後は木でできている回転円盤に磨き粉を付けて磨いたり、バフという布で磨いたりします。
このようにしてガラス本来の持っている透明性を出しますと、宝石のように輝く江戸切子が完成するのです。

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